「気づいたときにはもう手遅れだった」
炎上したプロジェクトの振り返りで、必ずと言っていいほど聞く言葉です。
しかし実際には、炎上は突然起きるものではありません。
必ず “初期サイン” があります。
問題は、それを
- 見逃しているのか
- 見えているのに判断できないのか
- 見えているが止められないのか
この違いです。
本記事では、これまでのプロジェクト支援経験から抽出した
炎上に向かう3つの初期サインを整理します。
サイン1:スケジュールが「なんとなく」決まっている
炎上プロジェクトの最初の兆候は、驚くほど地味です。
典型パターン
- 上位レイヤーが期限を先に決めている
- 根拠のない楽観見積り
- 詳細設計前にリリース日が固定される
この段階ではまだ問題は顕在化していません。
むしろ「スピード感がある」と評価されることもあります。
しかし構造はこうです。
根拠のない期限設定
↓
後工程での仕様膨張
↓
圧縮されるテスト期間
↓
品質低下
↓
炎上
重要なのは、期限が悪いのではない ということです。
問題は、「成立条件が明文化されていないこと」です。
PMが確認すべき問いは1つです。
この期限は、どの前提が崩れたら破綻するのか?
これが言語化されていない場合、炎上確率は急上昇します。
サイン2:責任の所在が曖昧
炎上するプロジェクトには、共通して「いい人」が多いです。
- 誰も強く否定しない
- 表面上は合意している
- 会議は穏やかに終わる
しかし裏では、
- 「それは自分の担当ではない」
- 「決めたのは上なので」
- 「開発が判断すると思っていた」
という “責任の空白地帯” が発生しています。
危険な状態
- 決定事項にオーナー名が付いていない
- 仕様の最終承認者が曖昧
- 「みんなで決めた」という表現が多い
プロジェクトにおいて
合意 ≠ 責任
です。
PMの役割は、合意形成ではなく
決定の構造を明確にすることです。
確認すべき問い:
この判断の最終責任者は誰で、プロジェクトメンバーは同意しているのか?
即答できない場合、それは炎上予備軍です。
サイン3:技術的リスクが「雰囲気」で処理される
もっとも見落とされがちなのがこれです。
技術的な不確実性が、
- 「たぶんいけます」
- 「前も似たことやりました」
- 「まあ大丈夫でしょう」
で流される。
これは極めて危険です。
技術リスクは、早期に顕在化させない限り、
必ず後工程で爆発します。
よくある例
- 新技術導入のPoCをやらない
- パフォーマンス試験を後回し
- 外部APIの制限確認をしていない
PMが技術を深く理解していなくても構いません。
しかし最低限、
それは検証済みですか?実績はありますか?
と問い続けられるかどうか。
ここが分水嶺になります。
3つに共通する本質
ここまで読んでお気づきかもしれません。
3つに共通しているのは、
不確実性を放置している
ということです。
- 根拠なきスケジュール
- 曖昧な責任構造
- 未検証の技術リスク
炎上とは、
「未整理の不確実性が同時多発する状態」 です。
なぜ、サインが見えても止められないのか?
多くのPMは、これらのサインに気づいています。
しかし止められない。
理由は3つあります。
- 上位者への遠慮
- 技術理解への自信不足
- 組織文化への同調圧力
つまり問題はスキルだけではありません。
構造と心理の問題 です。
炎上を防ぐために、PMがやるべきこと
高度なフレームワークは不要です。
まずはこの3つを徹底するだけで良い。
- 期限の成立条件を言語化する
- 決定ごとに責任者を明示する
- 技術リスクを必ず「検証項目」に落とす
これだけで、炎上確率は大幅に下がります。
最後に
炎上プロジェクトは運ではありません。
兆候は必ず出ています。
違いは、
それを「違和感」で終わらせるか、
「構造」として扱うか。
PMの価値は、問題解決能力ではなく
問題を早期に構造化する能力にあります。
もし、
- 技術がわからないことに不安がある
- 判断に自信が持てない
- 炎上を未然に防ぎたい
そう感じているなら、
一度、判断の構造を一緒に整理してみませんか。
PMプロフェッショナル育成コーチングでは、実践に即した独自のカリキュラムで、プロジェクトを成功に導くPM育成を行っています。 もし関心があれば、こちらからお問い合わせください。
